八戸自由大学第4回講座(2011年3月9日 グランドサンピア八戸)

演題

 野球のお話・なんでもあり

講師・安倍昌彦氏(スポーツジャーナリスト・流しのブルペンキャッチャー)

安倍雅彦氏プロフィール
1955年仙台市生まれ。早稲田実業中学部、早稲田大学高等学院、早稲田大学第一文学部卒。早稲田大学では野球部に所属し、1年、2年は捕手。3年、4年時は母校の早稲田大学高等学院で野球部監督。大学を卒業して石川島播磨重工入社するも、野球の仕事を志し6年後に退社。東芝野球部で約1年間、研修生として野球を勉強。雑誌「野球小僧」の創刊に参加。2001年から「流しのブルペンキャッチャー」の連載を始め、これまで約150人のアマチュアNO-1クラス投手の投球を受けてきた。著書に「流しのブルペンキャッチャーの旅」(白夜書房)、「斉藤世代」(NHK出版)、「スカウト」(日刊スポーツ出版社)。


講師口上
皆さん「野球小僧」という雑誌をご存知でしょうか。昨今、消長の激しい野球雑誌のなかで、おかげさまで今年創刊12年目。お弁当箱ほどのサイズで240ページ。1200円はちょっと高いぞと言われ続けながらも、それ以上の値打ちのある内容をと、日夜頑張っております。その「野球小僧」で、私、「流しのブルペンキャッチャー」という連載を続けて、ありがたいことに11年目になりました。

高校、大学、社会人野球で、当時のNO-1クラスのピッチャーにお願いして、ブルペンで全力投球をしていただく。そしてその剛速球、快速球、消えるような魔球を、体を張って全力キャッチ。もちろん、お話もうかがって6ページの記事にする。そんなへんなことを続けて、投げてくださった怪腕たち、ざっと150人。そのうち8割以上の投手がプロへ進みました。

東北では岸孝之(東北学院大学→西武)、菊池雄星(花巻東高校→西武)、佐藤由規(仙台育英高校→ヤクルト)、地元八戸ならば八戸大学から楽天に進む塩見貴洋。このほか印象に残る選手では、浅尾拓也(中日)、吉見一起(中日)、前田健太(広島)、久保田智之(阪神)、秋山拓巳(阪神)など。彼らのお話でも結構ですし、今回は野球の話なら「なんでもアリ」でいこうかと思います。というわけで今回はむずかしい話はなし。野球のお好きな方たちの楽しい広場になれば、これ以上嬉しいことはありません。


講演抜粋

「衝撃の強い投球とは、キャッチャーミットに噛みついてくる感じがする。投球を受けて手首が痛くなるのはまあまあの投手。肘や上腕部が痛くなるのは相当な投手。そして投球を受けた翌日、肩が痛くなるのは凄い投手。最近だと中大から巨人に入団した澤村拓一。彼の投球はそれほど衝撃が強かった。肩が痛くなったのはその澤村と西武の菊池雄星など3人だけです」

「縄跳びはインナーマッスルを鍛えるには格好の運動。一流の選手たちもよく活用してます。場所を選ばず、手軽で、縄跳びの道具も安い。こんな手軽で便利なトレーニング法はない。中学生ばかりでなく、高校生、大学生、社会人にもお勧めだし、中高年、高齢者には足腰の鍛錬にもなる」

「プロの選手の後姿を見れば、自分で作り上げてきた体かどうかが一目瞭然。後姿の太ももの筋肉の付き具合で分かる。自分から走り込んで鍛え上げた人間は、太もも、お尻の筋肉がパンパンに張っている。逆にそれほど筋肉が付いてない選手は走り込んでこなかった。走り込みが嫌いになると、足を引きずるように走るから」

「練習は嘘をつかない」という言葉にはひっかかる。ただ黙々と練習すればいいというものではないだろう。「なぜ練習しなければならないのか」。その意味が分からないとただ辛いだけだ。嫌にもなる。1000本ノックがあるとする。そのノックの意味はなんなのか。100本ではどんな意味があり、500本ではどんな意味があるのか。それを理解することだ。そうすることで「意味のある練習は嘘をつかない」ということになる。

「練習」という言葉を分解すると、「習」は文字通り、学ぶこと、教えてもらうことであり、さらには「気がつく」ことである。では「連」の意味は。それは同じことを繰り返すというではないだろうか。

「外野手」という言葉には抵抗がある。ポジション的には「暇な守備」というイメージがあり、手を抜こうと思えばいくらでも手が抜けるのも事実。けんかの仲裁に入ると「外野は黙ってろ」とか言われるなど、どうもイメージが悪い。こうした「外野」という呼び方が選手のやる気を失わせる結果にもつながる。外野手とは5人目の内野手のことだ。正確にライト、レフト、センターと呼ばなければならない。野球から「外野手」という呼び方を廃止したい。

練習では実力が発揮できるのに、試合となると実力が発揮できないことがある。試合とは「試し合う」ことだ。つまり練習の積み重ねを試し合う機会なのである。だから普段の練習で試合を想定していなければならない。