八戸自由大学第9回講座より抜粋

講座名

  ギター片手のつれづれ知的財産  商標、発明、著作権、ときどき自作の歌なども


講師・富沢知成氏

富沢知成氏プロフィール  1958年八戸市生まれ。県立八戸高校卒業。東北大学大学院農学研究科中退。青森県職員、出版社、飲食店、学習塾勤務を経て(株)インテリジェントプラザ(八戸IP)に研究員として入社。2000年、弁理士試験合格。2001年、富沢特許事務所開設。現在、八戸IP知的財産アドザイザー、青森県知的財産支援アドバイザー、弘前大学客員教授、八戸工業高等専門学校客員教授、八戸せんべい汁研究会理事、(株)フード・ペプタイド取締役など。趣味は映画鑑賞、水泳のほか、ギターの弾き語り、作詞・作曲、小説執筆など多彩。広島平和音楽祭(1991年)で自作の「チョコレートの海辺」が、一般歌詞部門最優秀賞を受賞。デーリー東北新春短編小説(1996年)で、創作「グラジオラス、咲いた」が、一席に入選。さらに東北アイデアソフトウェアコンテスト(1993年)で、「さいころWindows」が優秀賞に輝く。


講座より抜粋

「発明」とは何か。簡単に言うと「これまでになかった技術やアイデア」と言えますが、もう少し踏み込んで言うと「不便をなくすための技術」、さらには「課題の解決手段」と表現することができます。こうした発明を含め、商標、著作権など、いわゆる「知的財産」というものが、私たちの生活の周りには溢れていますが、知的財産にはルールがあるこということを知らない人が意外に多いものです。このルールを知らなかったばかりに損をした、あるいは訴えられたいうケースもあるのです。今回はそうした知的財産の概要と、ルールについて解説したいと思います。

知的財産(権)制度とはなにか。これは独自に作った「発明」「デザイン」「ネーミング」「マーク」「表現」など、創作、表示、情報などの無体財産を権利として認め、守る制度です。つまり知的財産を独占できる権利のことです。このなかにはよく知られる著作権、すなわち著作物に関する権利のことですが、これも含まれます。

著作物とはなにかというと、「思想または感情を創作的に表現したものであって、文芸、学術、美術、または音楽の範囲に属するもの」をいいます。具体的にいうと、言語分野に属するものとしては論文、小説、脚本、俳句、短歌、日記、それに電子メールやプログも含まれます。美術分野では絵画、彫刻、漫画、キャラクターなども含まれますし、地図や図形、映画、写真、コンピュータプログラムなどもちゃんとした分野があります。

身近なもので説明してみましょう。例えば携帯電話。この携帯電話一台には1000近い知的財産が盛り込まれているといっても過言ではありません。アンテナが付属されていれば、アンテナの収納構造が「実用新案権」として認められているだろうし、液晶技術に対しては「特許権」が、スマートな機器デザインに対しては「意匠権」、そしてブランド名に対しては「商標権」が認められているのです。ちなみに「商標」とは、自分の商品と他人の商品とを識別するマークのことであり、この商標には「出所表示機能」「品質保証機能」「広告宣伝機能」が付加され、マーク自体に特別な価値が生まれてきます。これを「商標のブランド化」といいます。

発明や意匠でもっとも大切なこと、それは「新規性」があるか否かです。この新規性とは、「発明などがまだ一般に知られてない」ことをいい、この新規性を失ってしまうと特許や意匠登録を取得できなくなります。こんな話がありました。ある会社で独自に開発した介護用品がありました。とても優れた製品であり、この製品について特許を取得したいと担当者が私のもとを訪れたのです。そこで私は質問しました。「この製品はまだ誰にも知られていないでしょうね」と。すると担当者は「いやいや、我が社の自信作ですからね、チラシやパンフレットを作って配ったところ、とても評判になりまして、何度か発表会もしましたよ」と言うではありませんか。この時点で特許の話はオジャンです。すでに新規性が失われていたからです。出願手続きが済むまでは、誰にも公表・発表してはいけないのです。企業であればなおさらのこと。新製品に投入してきた開発費用、開発までに要した時間と労力、それらが無駄になるばかりか、下手をすると会社を傾けてしまう要因にすらなるのです。

自分で作った、あるいはこれから作ろうとする製品、商品、創作物が、すでにこの世の中に出ていないか、あるいは類似のものがないか、それを確かめる手段としてはネットで調べる方法があります。「特許庁のホームページ」「特許電子図書館(IPDL)」「(社)著作権情報センター」「青森県知的財産支援センター」などで検索してみることをお勧めします。



講演の合間にギターの弾き語りが5曲。すべて富沢氏のオリジナル曲でした。邦画「ゴンドラ」を観て創作したという「夢の小舟」、八戸の詩人、村次郎さんとの思い出がつまった「冬の少年」、国宝に指定された合掌土偶に思いをはせた「祈り」、野球少年である息子さんの姿を観て作られた「ぼくらの夏」、そして「津波のあと」。