八戸自由大学第10回講座より抜粋

講座名

 『オカリナとの出会い』 ~より道~


講師・小比類巻としこ氏(オカリナ奏者)

小比類巻ひろこ氏プロフィール  1955(昭和30年)八戸市生まれ。1997年、オカリナの演奏を始める。『雪どけ』(泰地けん郎・作曲)をKEN MUSICより発表し、プロとして活動を開始する。2001年『時代(とき)の風』を発表。2004年『より道』(岡徹・小比類巻としこ作曲)をサウンドファクトリ デュオより発表。2005年、自らが主宰するオカリナ教室の生徒で演奏グループ「ange(アンジュ)」を結成、八戸市を拠点に活動中。

「八戸市在住のオカリナ奏者、小比類巻としこさんの、そのひた向きで一途な生き方は、オカリナの美しい音色に象徴されているように思います。その優しい響きは、私たちに郷愁の念を抱かせ、ノスタルジーな風をはこんできます。

1997年にオカリナと出会い、14年たった今、小比類巻としこさんの奏でるオカリナの音色は、より一層、円熟味を増してきました。今回の講座は、お話を交えながらオカリナを演奏していただきます」。(司会者挨拶より)


「わたしは、あえて孤独を選んで生きてきました。マイペースの人生。人に理解されない寂しさ、悲しさがつねに心の中にありましたが、ある日、オカリナに出会い、私の人生は変わったのです」

「横浜にある歓楽街の伊勢崎町。そう、あの名曲、『伊勢崎町ブルース』の舞台ですが、ここで私はオカリナと運命的な出会いをはたしたのです。当時の私は大きな病を抱え(今もその病を抱えていますが)、「死んでしまいたい」気分に襲われ、人との接触も避け、文字通り「孤独な日々」を過ごしていたのです。ある日、楽器店の前を何気なく通り過ぎたときのことですが、ショーウィンドーに目が行きました。そのショーウィンドーの上段の棚には高価そうな磨かれたサックスが置かれて、その下の棚にはポツンと寂しげにオカリナが置かれていたのです。『あっ、私みたいだな』、そう感じただけでそのときは通り過ぎました。だけど、どうしてもそのオカリナが気になり、再びショーウィンドに戻り、衝動的にそのオカリナを買い求めたのです。自宅の部屋に戻り、憑かれたように音を出しました。どの穴を押さえれば、どんな音が出るのかさえ分からないのに、ただ吹きまくりです。そしてどう覚えたのか、『コンドルは飛んでいく』を一晩中、吹いていたのです。このおかけで私はひとときですが、絶望と死を忘れることができたのです。もしあのときオカリナと出会わなければ、今の私はなかったでしょう。この世とサヨナラしてたかもしれません」

「オカリナ奏者の宗次郎さんなどの活躍もあり、当時、オカリナ教室はたくさんありましたが、私は敢えて人と交わる教室は避けました。孤独との付き合い方もわかってきた私は、独学でオカリナの奏法を身につけることにしたのです」。

「孤独というとマイナスのイメージがありますが、それは孤立と混同しているからではないでしょうか。孤独というものは実に味わい深いものであり、ときには友だちになってくれ、悩みごとや悲しみを共有してくれるときもあるのです。そして孤独を愛すると人に対しても愛を強く感じることができると思います」。

司会者との対談の後、小比類巻さんのオリジナル曲、スタンダード曲など十数曲が演奏されました。

※CDならびにオカリナ教室の問い合わせ、コンサート依頼などは090-6621-8573までお願いいたします。