「ふるさとを書く」講師・左舘秀之助

 

第13回講座より抜粋

演題 「ふるさとを書く」

講師・左舘秀之助氏(作家)

 

左舘秀之助氏略歴 大正13年、八戸市新井田生まれ。昭和22年青森師範学校卒業。以来38年間教職。同年、東奥日報の懸賞小説で短編「家」が入選。33年、第1回東奥小説賞「たづな抄」。33年、「第11回講談倶楽部賞「鳥ぐるい」。37年、第43回直木賞候補「木石抄」。主な著作は「修羅」、「にいだ川」「童子ごよみ」「山麓記」「少年挽歌」など。第5回青森県藝術文化報奨。第9回デーリー東北賞。市民歌および小中学校校歌作詞10校におよぶ。同人誌「小説会議」、歌誌「国原」、「まひる野」同人、歌誌「華の会」主宰。

「あすなろ随談」~郷土みつめるのが僕の仕事 昭和58210日(木)東奥日報新聞掲載記事より        

八戸市教委指導課長のあと昨年春から同市吹上小の校長先生。というより県人には、第
1回東奥小説賞受賞者、直木賞候補にもなった作家としての方がなじみがある。<o:p />

-役所と現場、いかがですか?

「役所は子供がいませんから時間で終わり、現場はいつも勤務。非行や事故がありますから気のやすまる暇がないですよ。基礎的な生活習慣、礼儀や生活リズムを育てていけるようにと思って。地域社会が教育の機能を失っていますからね」<o:p />

-創作の方は?<o:p />

「出発点は、東奥小説賞ですが、講談倶楽部賞、県芸術文化報奨、市の文化賞などもいただいて。地域の人たちが読み、支えてくれ、手ごたえが感じられるのは幸せです。ふるさとを見つめていくのが僕の仕事だと思っていますよ。今調べているのは「にいだ川」の続編です。ふるさとが変わってしまって、難しいけど、定着させておきたいと思って。生きた人間を描き、風俗も時代の持っている意味もとらえたい」<o:p />

-「にいだ川」「童子ごよみ」は売れたようで。<o:p />

「ええ、方言を意識してお話しされている場を提示したかったんです。子供たちの生活を現代と私たちの少年時代を対比してみることも・・・。いま健康、体育といっているが、昔は遊びそのものが体育でありましたよ。津軽弁は今でも生きているが南部弁のコマーシャルなどない。悪い言葉だと思っているんでしょう。南部人は、津軽人が正面切って押し出し野太い生き方をしているのと対照的です」<o:p />

-八戸人をどう考えます?<o:p />

「流動し、あまり構えがない。よそからの働きかけを正面切っては、こばみません。津軽人は排他的で自分のものを捨てないけど・・・。政治的にも経済的にも気質の違いがありますね。そういう気質の違う人が同居している青森県は面白いと思いますよ。降雪など自然の条件の違いが気質に影響しているんでしょう」<o:p />

-若い書き手は?<o:p />

新聞の懸賞小説の選考を十年以上やっています。入れ代わり立ち代わり、いい才能が見えても消えていきます。文学の風土、津軽には伝統があるけど、八戸には育ちません。タウン誌が舞台を提供、そのうち本格的なものへ進むかもしれないけど。集まって人と会うだけでも刺激になるのに」<o:p />

県南では、かけがえのないリーダーの一人だろう。<o:p />

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講座より抜粋

はじめに

それぞれのふるさとと人生
ふるさとはわれにいくつも冬銀河
 野に生まれて此処より出でず老いづけば
生きの限りの雪囲いせり

1「童子ごよみ」のモチーフ
 自分の少年時代を振り返る
 現代っ子がもつ問題
 ふるさとのことば(方言)の問題 
 

2・子どもの生活と教育
  よく遊び、よく働き、よく鍛えられた昔
  そして今の子どもをめぐる条件

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3・「にいだ川」短編集のエピソード
  川をめぐるエピソード
  「鱈つけサブ」「甘茶の杓」

4・ふるさとのことば
   ふるさとのなまりなつかし
   消えゆく方言

南部弁と津軽弁
  ことばの種々相
  擬態語のレアリティ
  ことばと気質と風土

5・「少年挽歌」の世界
  閉じられた青春
  徴兵検査の暗き門

6・敗戦と戦後の世相(不毛の季節)
  禁忌の破壊
  報道の無分別
  教育の変転(為すことによって学ぶ)