外から見た八戸の魅力と課題

 
平成27年度八戸自由大学第2回(通算89回)講座より抜粋
 
演題 「外から見た八戸の魅力と課題
     ~国内外での経験を踏まえ、これからの八戸を考える~
 
講師 島守正典氏(株・八戸テレビ放送前社長)
 
講師略歴 八戸市出身。鮫中学から東京へ。早稲田大学政経学部卒業。1961年古河電工入社。75~85年国内営業を経て海外プロジェクト(東南アジア、中近東)に従事、帰国後本社勤務を経て95年、八戸に工場立地(旧古河電工)、地域活性化に尽力。その後、八戸商工会議所副会頭、八戸港貿易センター勤務。2006年八戸テレビ放送代表取締役社長就任。昨年退任。現在は神奈川県茅ヶ崎市に在住。76歳。
 
挨拶に代えて
高校から東京に出て、首都圏の大学に進み、会社就職後も郷里とは無縁で社会人生活を送ってきた。その間、国内外での経験と仕事の関係から、海外(東南アジア、中近東)を見聞する機会に恵まれた。帰国後、縁あって55歳から郷里八戸に戻り、工場立地を契機に地元との様々なん関係ができて以降、人生の後半を八戸で過ごしてきたことに感謝している。現役を退き、今は神奈川県在住だが、故郷への郷愁は募るばかりである。外での経験を踏まえ、これからの八戸に期待するものを述べてみたい。
 
講座より抜粋
 
○八戸を離れ、仕事で各地を回り、様々な人たちと触れ合ってきた。そして人間性を形成するのにその地の風土や環境が大きく影響していることも分かった。では、八戸の人間はどんな特徴があるのか。やはりヤマセが大きく影響しているように思われる。厳しいヤマセにじっと耐えることが、脈々と受け継がれてきた。その結果、しぶとく、我慢強く、勤勉ともいえる性質の人間を作った。
 その昔、八戸に工場を建設する際、地元八戸の人間を採用、親会社で研修させたことがある。指導役の工場長曰く「八戸の人間はコツコツと働くのはいいが、何を考えているのか意見を言わない。どうしたものか」と。それを聞き、私は彼に八戸の土産である南部せんべいとスルメを送った。「噛めば噛むほど味が出る。彼らはそれを食べて生きてきたのだ」と一言添えて。要は、最初は味もなにもそっけないが、時間をかけて食べるうちに、なんともいえない味わいが出る。八戸の人間も同じで、最初は無口でとっつきにくいだろうが、時間をかければ打ち解け、仕事も立派に覚えるていく。そう言いたかったのである。この地元採用の従業員たちは、その後、社内の技能コンテストで見事に優勝、八戸人の気質を見事に見せてくれた。
 東南アジアの各地、中近東にも赴いたが、熱帯、砂漠という環境、風土が作用しているのだろう、現地の人々をまとめあげるのには苦労した。一日かかる仕事は1週間、1週間かかる仕事は1ヶ月を要した。勤勉さ、真面目さにおいてはやはり日本人のほうが上だ、八戸の人間の粘り強さ、真面目さ、勤勉さを、海外で改めて認識した次第である。
 
○産業経済、政治の首都圏集中や、高齢化、人口減で地方の衰退が危惧されているが、八戸はそのなかで北東北の拠点都市として存続しうる可能性を持っている。気候としては雪が少なく比較的温暖。南部人の我慢強く、真面目、勤勉な気質。港湾、学校などのインフラはもとより、三陸復興国立公園の起点として観光分野でも今後が期待されているのである。
 
○八戸を盛り上げていくには、八戸の人間の意識も大切だ。津軽の人間と比べると、暗い、引っ込み思案、消極的である。もう30年近くも昔の話であるが、得意先の人間を乗せて駅前からタクシーに乗った。そのとき、初めて八戸を訪れた得意先が、「運転手さん、八戸の有名な場所、面白い場所、それと旨いものを教えてください」とドライバーに聞いたところ、そのドライバーが「ナーンもねえ、そっだらどこ、ナーンもねえよ」と、言い返したのである。私は驚いたと同時に腹が立った。謙遜していることもあるだろうが、「ナーンもねえ」は、ねえだろうと。観光客を真っ先に案内すべきタクシードライバーがこんな調子だと、八戸に将来はないと思った。大人こそ八戸の誇るべき観光地、遊び場、味どころを覚え、それを伝え、教える努力をしないと、次の世代も「ナーンもねえ」になってしまうのである。最近、ようやく観光やらグルメに関する案内ボランティやコンシェルジュが見受けられるようになったが、市民一人ひとりが八戸を盛り上げる努力をしなければ、衰退は避けられない。