家庭医療と在宅医療の普及に向けて

 
演題  『家庭医療と在宅医療の普及にむけて』 
     ~これからの八戸のために~ 
 
 講師  小倉和成氏
 
 講師略歴  平成8年国際基督教大学教養学部人文科学科卒。平成15年琉球大学医学部医学科卒。同17年医療法人カレスアライアンス日鋼記念病院初期研修終了。同19年弓削メデイカルクリニック常勤医。同22年はちのへファミリークリニック医院長。日本プライマリ・ケア連合学会認定医・指導医。全国在宅療養支援診療所連絡会世話人。青森県在宅医療対策協議会委員。同県医師会在宅医療協議会幹事。八戸地区介護保険事業者協会理事。
 
講座にあたり
日本は歴史上類をみない急激な少子高齢化の真っただ中にあります。高齢者を支えるための地域包括ケアシステムの構築が声高に叫ばれていますが、少子化の対策も行わなければせっかくの仕組みを整えても、支えるための人が足りなくなってしまいます。日本の地域社会が直面するこの状況を打破するためには、仕事をしながら介護にも携わり、子供を産み育てたいと考える人たちがそれを実現できる社会を築く必要があります。そのためには家庭医療・総合診療の普及と在宅医療体制の充実が不可欠です。八戸地域の未来に向けた取り組みをご紹介いたします。
 
講座より抜粋
 在宅医療や医療介護の連携のために、国はここ数年さまざまな事業を地方におろし、自主的な取り組みを促してきた。医療や介護を取り巻く環境は地域ごとに千差万別だ。病院や診療所の多い地域や少ない地域、介護施設は多いが訪問看護ステーションが少ない地域など、それぞれに異なった課題を抱えている。そのような違いのある地域に、これまでの日本の行政がそうであったように、中央で決めたやり方を一律に当てはめるよう求めても到底通用しない。そこで今回は、それぞれの地域に合わせたやり方を自分たちで作ることを国は求めているのだが、これを理解している取り組み始めている地域は多くないのが現状だ。
 
 在宅医療に関わる諸機関と団体と、現場の認識のかい離も目立つ。在宅医療の現場では、毎日が時間的にも労力的にもぎりぎりの戦いである。特に一人で診療を行っている診療所で24時間365日在宅医療の対応をしなければならないところは、次第にその負担に耐えられなくなってきている。現在まで日本の在宅医療は、主にこういった゜一馬力゛診療所に現場のかなりの部分を依存してきた。今後、増大を続けるニーズに応えていくいくためには、このような診療所を含む在宅医療提供者が、連携して地域の在宅医療を支え続けられるよう、行政や関連諸機関が体制づくりを積極的に推し進める必要がある。
 
 八戸地域も今後数年の間に連携体制を構築しなければ、在宅医療の現場が飽和し、破綻しかねないレベルにまで達している。6年前地元に帰ってきて開業した当時、これまで診療してきた関西や北海道に比べて、在宅医療を取り巻く環境が遅れていることに驚いたが、残念ながら状況はいまもほとんど変わってない。その一方で、現場では意欲的に取り組む人々もたくさんいる。さまざまな職種で頑張っている人たちの力を活かし、この地域が障害や病気があっても安心して暮らせるよう、一致団結して体制づくりを進めていかなければならない。